のび太のくせに生意気だ。/ジョージ・フリードマン『100年予測』
本書は今後100年間の世界の動向を予測したレポートだ。これは胡散臭い予言の書ではなく、地政学という地理的条件を中心に各国の現状を分析した結果、今後起こる蓋然性が高い事象を取りまとめた内容となっている。
地政学とは、世界について考え、将来の出来事を予測するための方法をいう。経済学には「見えざる手」という概念がある。〜(省略)〜地政学は見えざる手の概念を、国家を始めとする国際舞台の主体の行動に当てはめる。国家やその指導者たちによる短期的な自己利益の追求が、国富とはいかないまでも、少なくとも予測可能な行動をもたらすため、結果として将来の国際システムのあり方が予測可能になると考える。
この本に書かれている内容を一言で言えば、アメリカは今後100年に渡り世界の頂点に君臨する覇権国家で、今以上に強大な力を持つことになる、ということ。世界は100年経っても相変わらずアメリカ中心に回っているという、あまりパッとしない未来予測の本です。
この圧倒的な覇権は、アメリカが太平洋と大西洋という海の交通路を事実上支配していて、経済的・軍事的に圧倒的なプレゼンスを有していることに由来する。アメリカに刃向かおうものなら、海上封鎖され物資の供給を絶たれ、貿易船のみならず艦隊の航行は不可能となる。戦争において兵站を絶たれた国の末路は、第二次世界大戦期の日本に詳しい。そのため、向こう100年このパワーバランスは揺るがず、寧ろ宇宙を掌握することになるアメリカの強さは無敵の領域に達することになる(らしい)。
しかし、本書によれば、日本はいずれアメリカに喧嘩を売ることになるらしい。たまにのび太が逆ギレしてジャイアンに食ってっかかるアレでしょうか。勝てないのが分かってるのに喧嘩を売るんだよな、日本って。まぐれでロシアに勝ったくらいで、調子乗ってアメリカに行くくらいだからね。
日本、トルコ、ポーランドのそれぞれが、ロシアの二度目の崩壊後にさらに自信を深めたアメリカと退治する。これはまさに一触即発の状況である。これから見ていくように、この四カ国の関係が 二十一世紀に大きな影響を及ぼし、最終的に次のグローバルな大戦をもたらすのだ。(P23)
そんなわけで、本書を読んだ私は大真面目に提案する。日本はアメリカの51番目の州になるべきである、と。早々にアメリカの軍門に下り、出稼ぎ労働者よろしく本国にせっせと日本円を送金するの(そうなったら円は無くなってるだろうけど)。アメリカの財布として日本のプレゼンスを強化しろ。世界のいざこざについては対岸の火事を決め込んでアホ面していれば宜しい。数十年後には日系大統領が誕生しているかもしれないし。
日本がどの様にアメリカにこてんぱんにされるか興味がある人は、是非本書をお読みください。固そうなテーマの割りに、実に読みやすい文章です。宇宙戦争とか突拍子もない話が出てきますが、今の自分を離れ、将来のことを考えて見るのも悪くないですよ。
- 作者: ジョージ・フリードマン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/06
- メディア: 文庫
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