HopiHopi日記

読書日記(書評 ブックレビュー 読書感想文)に雑記少々。本を読んで、いろいろ考えます。

君の才の天上のものなるに驚歎し、己が才の如きは地上一隅のものなるを思わざるは無し/穂村弘 『本当はちがうんだ日記』

ブログを書くのが生活に組み込まれるようになって、1週間が経った。2、3日に1エントリが限界だが、それでも、日記すら付けたことの無い私からすれば、隔世の感がある。このまま習慣化されると良いと思う。

 

しかし、ブログを書き始めて、自分に文章力が大分不足していることに気付く。残念ではあるが、こればっかりは才能の問題が大きい。いつかは私にも文才が開花する日が来るのかも知れないが、今時点ではその兆候は認められない。残念である。

 

特に気になるのが、他人の文章を読んだときだ。今まではちゃんと文章を書いたことが無かったので、ふんふん、と楽しく読むだけであったが、ブログを書き始めてからは、嫌でも己の文章と比較してしまう。う、みんな何て文章が上手いんだ・・・。一般の方のブログですら、足元にも及ばない。プロの作家に至っては言わずもがなである。

 

その中でも、これは天賦の才だ、と感心したのは歌人穂村弘さんである。*1 

 

穂村さんのエッセイは、我が家のトイレ本として、長らくその栄を欲しいままにしているが、1、2話読むだけのつもりで何十分も篭城していることはざらであり、トイレ時間が長いのはひとえに穂村さんのせいであることは、声を大にして妻に言っておきたい。決して、便秘気味ではないのである。

 

下の話はさておき、天才・穂村弘の作品の中でも、その圧倒的な文章力とユニーク過ぎる着眼点が光る、穂村ワールド全開の一冊が『本当はちがうんだ日記』である。 

 

*1:現代短歌を代表する歌人に向かって、天賦の才とは、どれだけ上から目線なのか我ながら関心してしまう。

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ハードボイルド風ベトナム観光7泊8日(カーチェイスのオプション付き)/垣根涼介 『午前三時のルースター』

最近、デング熱のニュースが日本を騒がせていますね。致死率がそれ程高くないとはいえ、蚊を媒介に広まるところが何となく不気味です。早く収束してくれるといいのですが。

 

そういえば、僕は数年前にベトナム出張から帰ってきた直後に、40度近い高熱に3日間うなされたことがありました。当時は初めての海外出張で疲れが出たのかと思いましたが、今思えば、もしかしたらあれはデング熱だったのかもしれません。真相は闇の中ですが、とりあえず、今年は蚊に刺されないように注意しようと思います。

 

さて、仕事で行ったので、ろくに観光ができなかったベトナムですが、不思議と鮮明な記憶が残っています。街を歩くと、肌に張り付くような湿度と排気ガスまみれの空気にうんざりする僕とは対照的に、現地の人達は陽気でとにかくエネルギッシュです。街全体がポジティブなエネルギーに満ち溢れていて、いつの間にか、こちらまで元気になってきました。経済成長のダイナミックな過程にある国のエネルギーを肌で感じることができる場所です。

 

僕にとって、そんなベトナムを思い出させてくれる小説が、垣根涼介さんの『午前三時のルースター』です。

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マンガを通して世界を眺めてみよう/内田樹 『街場のマンガ論』

内田樹さんの『街場のマンガ論』読了。

 

内田樹さんの文章は僕の大好物で、真っ当な常識人的意見と、学術的で「誰も言わないこと」のセキセントリシティのバランスが絶妙で、こんな大人が身近に居たら絶対楽しい人部門で堂々第1位を獲得しています。どの文章もありふれたの食材から見たことのない料理を作るような論理展開に感心するのですが、主張自体は穏当なリベラル的発言が多く、僕にとって共感できる書き手の1人です。

 

この本はマンガについて書かれていますが、所謂マンガ論だけではなく、マンガを題材にして人間や社会についても分析されています。僕はマンガのヘビーリーダーではないので、マンガについて論じた文章より、マンガを使って別のことを論じた文章を楽しく読むことができました。内田さんは身近な誰でも知っている題材を用いて、今まであまり聞いたことの無い種類の話をしてくれますが、今回も遺憾なく発揮されているように思います。

 

さて、今回はこの『街場の読書論』に書かれていた、ヒーローマンガのロボット=在日米軍自衛隊)説について考えてみました。これは第六章 マンガ断想「アメコミに見るアメリカのセルフイメージ」(p182~187)に書かれていたことで、簡単にまとめると次のようなアイデアです。

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いや、一行も書いちゃいないよ。何も書けやしない。/村上春樹 『風の歌を聞け』

ブログを開設したものの、何を書こうか迷っているうちに1週間が過ぎそうです。
ブログ記事は思いついたことを勢いでサッと書いたほうがいいと思っていたのですが、どうもしっくりきません。自分のライティングスタイルや文体が見つかるまで試行錯誤が必要なようです。早くリズムに乗れると良いのですが・・・。

 

試行錯誤と言えば、作家のデビュー作は試行錯誤の連続に違いないと思い、ブログを書くヒントを探すために、久しぶりに村上春樹さんの『風の歌を聴け』を読んでみました(だいぶ強引な流れですね)。

 

村上春樹さんと言えば、『羊をめぐる冒険』や『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』など傑作ばかりですが、なぜか僕の再読レコードホルダーは『風の歌を聴け』です。

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なぜ今頃ブログを始めるのか?

 はじめまして、HopiHopiと申します。

 

僕は数年前から読書ノートをつけたいと思っていたのですが、

読書メーターでログを取るだけで終わっていました*1

いつ頃何を読んだかを見返すことができるのはすごく便利なのですが、

やはり、読んだ本の感想やその時自分が考えたことを残しておきたいと思い、

ブログを始めることにしました。

備忘を兼ねて、初めてのエントリにブログを始める理由を書いてみました。

 

1.質の高い読書体験

どんな本を読んだかということはもちろん大事なことです。でもそれ以上に、その本から何を学んだか、ということの方が10倍大事だと僕は考えます。特に、社会人として限りある時間を読書に当てる以上、フィードバックの多い読書体験であるに越したことはないでしょう。そのためにも、その本から何を学び、何を考えたのかを整理し、記録することは意味のあることだと思うのです。

 

2.思考の記録

ある本を読み返したら、前に読んだ時は何でこんなに感動したんだ?、といったことがたまにあります。その時感じたことは、記録しておかないとすぐ消えてしまうんですよね。そんな訳で、ずっと自分の考えたことをメモしたいと思っていたのですが、日記どころか簡単なメモすら億劫で付けませんでした。怠惰な性格なので、他人の目を意識することで、僕でも記録を残せるのではないかと期待しています。

 

3.本の紹介とその反響

本の好きな人だったら、自分の好きな作家や本を誰かと共有したい、と思ったことはありませんか。僕はあります。面白かった本を皆に薦めたいですし、自分が読んだ本について、どんな感想や意見があるのか知りたいです。いつの日か素敵なコメントをいただけることを期待してブログを続けていきたいと思います。

 

以上、思いつくままに理由を書いてみました。

これから、ゆるゆると更新していきますので、良かったらまた来てください。

 

 

*1:読書メーターには、ちゃんと感想やレビューを残す機能が搭載されています。読書ノートをつけていなのは、ひとえに僕のめんどくさがりな性格によるものです。読書メーターさん、活用できずスミマセン。