HopiHopi日記

読書日記(書評 ブックレビュー 読書感想文)に雑記少々。本を読んで、いろいろ考えます。

2014-01-01から1年間の記事一覧

Freak Out !/『FRANK−フランク−』

天才とは、過剰ではなくて欠落でないかと思う。それ無しでは生きていけないから、空白を埋めるために必死で動員した様々なモノが結晶化して、それがやがて天才と呼ばれるものに変異するのではないか。 映画『FRANK−フランク−』を見て、そう思った。 物語の中…

あの日あの時あの場所で君に会えなかったら。/内田樹 『街場の戦争論』

内田樹さんの『街場の戦争論』を読みました。 なんだか内田さんの本をよく読んでるな、と思って数えてみると覚えているだけで今年7冊目でした。既読本の読み返しを含めると「月一」を遥かに上回るペースでウチダ本を読んでいました。 内田さんの著作は最近読…

ご無沙汰いたしておりました。

ここ1ヶ月ほど、パソコンが壊れたことで、ブログの更新を全くして無かったのですが、久方ぶりにはてなブログにログインしました。ブログを書こうと思えば、携帯もタブレットもあるので、いくらでも書けるのですが、パソコンが無いとどうも物を書く気分になれ…

のび太のくせに生意気だ。/ジョージ・フリードマン『100年予測』

本書は今後100年間の世界の動向を予測したレポートだ。これは胡散臭い予言の書ではなく、地政学という地理的条件を中心に各国の現状を分析した結果、今後起こる蓋然性が高い事象を取りまとめた内容となっている。地政学とは、世界について考え、将来の出来事…

文学賞って、一番取りやすいノーベル賞って本当なの?

先週はノーベル賞ウィークでした。青色LEDで日本人が物理学賞を受賞したり、憲法9条が平和賞にノミネートされたりと、今年も話題に事欠かない一週間でしたが、個人的には「村上春樹さんの文学賞受賞ならず」がビッグニュースでした。村上さんとノーベル文学…

あらゆるものが消滅していく世界で、消滅しないもの/小川洋子 『密やかな結晶』

いきなり暗い話で恐縮ですが、僕はこれまで何度か理想的な死について考えたことがある。その中の一つで、老人性痴呆症かなんかになって何もかも忘れて、自分が誰であるかとか死ぬことについて思い煩うことなく、動物のように死を恐れずに迎えることができた…

金だけがすべてじゃないだろう?/平川克美 『移行期的混乱 経済成長神話の終わり』

日々、目にする不吉なニュースの数々。グローバリズム、長期デフレ、年金問題、少子高齢化。或いは不可解な殺人事件や、ため息しか出ない政治・経済の不祥事。 いつの間にか「閉塞感」を感じるようになって久しい。自分の未来に対する漠然とした、しかし確か…

執事道とは品格と見つけたり/カズオ・イシグロ 『日の名残り』

日本人と英国人は良く似ている、こんな話をたまに耳にします。確かにお茶好きで島国だし、礼儀作法にうるさいところなど似ているところは多いかもしれません。それにアメリカやフランスと比べれば、イギリスは日本と似ていると言えそうです。 僕が日本人と英…

NO CAT,NO LIFE!/川村元気 『世界から猫が消えたなら』

この話は小説なんだろうか?僕が読後に感じた疑問だ。何だか小説として備えていなければならないものが欠落している気がする。 これと似た本を昔読んだことがあるな。何だったっけ?少し考えてみて気が付いた。『ソフィーの世界』だ。そこで、この小説を哲学…

そうだ、エジプトに行こう!/パウロ・コエーリョ 『アルケミスト 夢を旅した少年』

最近、仕事が忙しくてブログを更新できてませんでした。きっと仕事されてる方はみんな同じ条件だと思うのですが、平日にガシガシ更新されるブロガーさんが多くて感心しきりです。僕も無理のない範囲でがんばります。 さて、仕事に忙殺されると、ちょっと現実…

憲法と国民国家と資本主義/内田樹 『憲法の「空語」を充たすために』

今日本で最も注目されている思想家の1人・内田樹の新著が「かもがわ出版」という京都の小さな出版社*1 から出されたということが、この本の全てを物語っています。 この『憲法の「空語」を充たすために』は、大手出版社から出すことができない程、過激な主張…

書物を焼く人間は、やがて人間を焼くことになる/レイ・ブラッドベリ 『華氏451度』

レイ・ブラッドベリ『華氏451度』読了。 久しぶりに傑作に出会えた。本読みをしていて良かったと思う瞬間だ。人生を変えてしまうような本に出会えたときの記憶があるから、僕たちは新しい本を手に取ってしまう。次はどんな本と邂逅できるのかワクワクしなが…

隣の芝生は青く見える-仕事と幸せと香川選手の移籍の話ー

この一週間やたらと仕事が忙しく、読書エントリを書く気分ではないので、今回はお仕事について考えてみました(まぁ、それでも3冊は読めたのですが、文章が書けるまで整理できておらず)。 今日のニュースを見ると、サッカー選手の香川真司さんが大活躍みた…

文体よさらば/保坂和志 『書きあぐねている人のための小説入門』

前回のエントリでも書いたけど、ブログを始めてから文章について考えることが多くなった。僕は文章を書くのに、とても時間がかかる。挙句にあんまり上手くない。一体みんなどうやって文章を書いているんだろう?あのブロガーさんの個性的な文章は誰かモデル…

君の才の天上のものなるに驚歎し、己が才の如きは地上一隅のものなるを思わざるは無し/穂村弘 『本当はちがうんだ日記』

ブログを書くのが生活に組み込まれるようになって、1週間が経った。2、3日に1エントリが限界だが、それでも、日記すら付けたことの無い私からすれば、隔世の感がある。このまま習慣化されると良いと思う。 しかし、ブログを書き始めて、自分に文章力が大分…

ハードボイルド風ベトナム観光7泊8日(カーチェイスのオプション付き)/垣根涼介 『午前三時のルースター』

最近、デング熱のニュースが日本を騒がせていますね。致死率がそれ程高くないとはいえ、蚊を媒介に広まるところが何となく不気味です。早く収束してくれるといいのですが。 そういえば、僕は数年前にベトナム出張から帰ってきた直後に、40度近い高熱に3日間…

マンガを通して世界を眺めてみよう/内田樹 『街場のマンガ論』

内田樹さんの『街場のマンガ論』読了。 内田樹さんの文章は僕の大好物で、真っ当な常識人的意見と、学術的で「誰も言わないこと」のセキセントリシティのバランスが絶妙で、こんな大人が身近に居たら絶対楽しい人部門で堂々第1位を獲得しています。どの文章…

いや、一行も書いちゃいないよ。何も書けやしない。/村上春樹 『風の歌を聞け』

ブログを開設したものの、何を書こうか迷っているうちに1週間が過ぎそうです。ブログ記事は思いついたことを勢いでサッと書いたほうがいいと思っていたのですが、どうもしっくりきません。自分のライティングスタイルや文体が見つかるまで試行錯誤が必要なよ…

なぜ今頃ブログを始めるのか?

はじめまして、HopiHopiと申します。 僕は数年前から読書ノートをつけたいと思っていたのですが、 『読書メーター』でログを取るだけで終わっていました。*1 いつ頃何を読んだかを見返すことができるのはすごく便利なのですが、 やはり、読んだ本の感想やそ…